そこに立っていたのは成宮秀樹だった。

 その言葉に真っ先に反応したのは千春だった。

「どうして京の香りがかけがえのない人なの? それならもっとふさわしい名前があるでしょう?」

 名付けた本人がいないのにそんなことが分かるわけがない。

 成宮秀樹は肩をすくめる。

「なんとなく、だよ」

「なんとなくねえ」

 千春は眉間にしわを寄せ、何かを考え込んでいた。

「そんなに気になるならお母さんに聞いてみるよ。多分、意味なんてないとは思うけどね」

 結局その日は名前が決まらず、母に聞くことになった、