「家は?」

 彼は大まかな駅名と住所を告げた。

 あまりここから離れていなかった。

 それならタクシーで向かったほうがいいのかもしれない。

 いつもなら監督がいるが、今週の始めからどこかに行くと言っていたので、選択肢としてはそれしかない。

 あたしはタクシーを呼ぶと、タクシーが来る頃合を見はからって、彼を下に連れて行く。

 あたしたちがタクシーに乗りこむと、タクシーがゆっくりと走り出した。