そんな夢はありふれているかもしれない。でも一番すてきな夢だとも思う。

「千春もさ」

 弘が顔を赤くしてあたしを見た。

 もしかして彼は千春と一緒の未来を連想していたのだろうか。

 あたしは気づかない振りをして言葉を続けた。

「弘と似たようなこと言っていたよ。でも彼女は好きな人がいないのが悩みみたいだけどね」

「好きな人いないんだ」

 弘は表情を緩ませていた。嬉しそうだった。

「みたいだよ」

 千春と弘はもしかすると似た者同士なのかもしれない。あたしはそう思っていた。