千春は多分深い意味もなく言ったことなんだろうけど、彼にはちょっとショックだったようだ。

 千春が本気でそう思っていたら、彼女の理想は相当高いとは思う。

「千春の好みはよく分からないけど、同じ大学にいけるようにでも頑張ってみたら? もちろん志望を変更しても問題ないならだけどね」

 彼女は兄と同じ大学に行くだろう。

 彼女も成績がよかったからだ。

「俺の成績じゃ厳しいって」

「同じ大学行っても文系と理系じゃ意味ないしね。偶然構内で会うくらいしかないし」

 あたしは淡々と語る。

 あたしも同じ大学に行くとそうなる予定だった。

 それでも彼と同じ大学に行きたかった。

 弘の顔が一層暗くなる。

 しかし、そんな彼に告白したらいいとは言えなかった。