「メロンとオレンジとピーチどれがいい?」

「オレンジ」

 千春はあたしにアイスを出しだした。そして、メロンを尚志さんに渡す。

「これを買いに行ったの?」

「後は夕食の買い物をいろいろとね。お兄ちゃん、麦茶飲みたい」

 千春はそう彼に告げた。

 彼は仕方ないと言いながら冷蔵庫まで歩いていく。

 兄弟のいないあたしには彼らのそんな関係がちょっと羨ましい。

「それでさ」

 千春があたしとの距離をつめる。

「キスくらいした?」

「そ、そんなものするわけないでしょう?」

 この子は一体何を言い出すのだろう。