尚志さんの部屋はその隣の部屋で、殺風景な部屋だった。部屋の中にはベッドと机、机の上にはノートパソコンが置かれている。

 クローゼットの中には洋服が入っているのだろう。部屋の隅には本棚があり、そこにはある本が並んでいる。

 尚志さんは本を十冊ほど取ると、あたしに渡す。

「好きなやつがあったら持っていっていいよ」

「どうしよう」

「ゆっくり決めればいいよ」

 あたしは床の上に座る。

「どうせなら全部借りてもいいし。俺は読み終わったからいつでもいいし」

「千春は?」

「あいつも読み終えたって言っていたから大丈夫だよ」

「そしたらそうしようかな」

 あたしはその本を全部借りることにした。