先生は私を大切にしたいって理由で高校生の間は一切家に入れてくれないらしい。


まあ私だって行かないって約束はしたけど…でもね先生、私を大切にしたいなら、今は先生の家に行かせて欲しいんだ。


じゃないと私、家に帰ったら、そろそろほんとに死んじゃうかも。


私の家、今、最悪な状況だから。


そんなことを考えてたら自然と涙が頬を伝ってた。


「え、泣いてんの?」

先生が驚いた声で言う。


「…今はこれで我慢しろ。お願いだから。」


そう言うと先生は私のおでこに軽く触れるだけのキスをしてきた。


そんなに優しくされたら、もっともっと先生の家に行きたくなるよ。


先生を頼りたくなるよ。


先生だったら全部聞いてくれるかもしれない。私は今の家の状況を先生に話す覚悟をした。


「先生、」

「ん?」

「私、実は…」

ドンドンドンドン

私の言葉は教科室の扉を誰かが叩く音で掻き消された。