「あ、そうだ莉玖。昼間に俺に言いかけたこと何?」

いつものように先生と帰っているといきなり質問をされた。

もちろん、皆にばれないように下校時刻が過ぎたら私は学校近くの喫茶店で時間を潰し、先生が帰宅する時に待ち合わせて一緒に帰る。

多少めんどくさいけど、これが楽しみのひとつ。

で、いきなりの質問。私も昼間のことは忘れかけていた。

「ん、あ~アレね…」

「深刻な話っぽかったから気になってさ」

「…うん」

話そうかどうか迷う。

だって、今になって考えれば、多分話したところで先生に心配かけるだけだろうし、結局は児童相談所的な所に行かされそうな気がしたから。

「ん~まあいいや!!明日話す明日!!」

「また適当に話流してんだろ」

「…あはっ…流石先生鋭いね」

「当たり前だろ?好きなやつが悩んでそうなら心配する、これ常識。まあ…話したくないなら無理にとは言わないけどな。」

「じゃあ…いつか話すね。」

「おう待ってる。」


 私はまだ知らなかったんだ。
 その“いつか”はもう来ないことを