「……ううん」




小さく笑顔を作って俺は首を振った。




……梓乃ちゃん。




俺、そんな事謝ってほしいんじゃないよ?




そう思いながら何も言えない俺。




大人って……ああやって彼女が別の男と話してたって寛大で見守ってるべきなのかな。




俺……そう思って、何も言えなかったよ。




「……帰ろっか」




そう言われて、俺は梓乃ちゃんが歩き出した後を慌てて歩いた。




校門を出て、ゆっくりと歩く帰り道。




歩幅の狭い梓乃ちゃんの歩幅を合わせる為に俺はゆっくり歩く。




ねぇ?




知ってる?



歩幅合わせて歩いてるのは、梓乃ちゃんの歩きやすいようにしてあげたいって事もあるけど。




何より、なるべく長く梓乃ちゃんと一緒に居たいからって思ってるからなんだよ。