「あっ……あの…私……もう帰らないといけないので……。」


私は思いっきり力を込めて先輩の手を振りほどくと、床に落としたカバンを拾い上げた。


「す……すいませんでした。邪魔しちゃって……。」

私は深くお辞儀をして、逃げるように教室を飛び出した。


そこからは、どんな道を辿って家まで帰ってきたのか分からなかった。


ただただ走って…
次第に頬をつたう温かい雫に、むせながら走って……


気付いたら家に…
自分の部屋のベッドに顔を伏せていた。