「夏海…先輩……。」


教室の入り口には驚いた顔をしながら立つ夏海先輩がいた。


「匠が、こっちの方に来るのを見かけたから…ちょっと気になって来ちゃった…。」


気まずそうに笑う夏海先輩に匠先輩は何も言おうとしない。


匠先輩……
夏海先輩にあんな顔…させちゃダメじゃないですか…。


夏海先輩は、ずっとずっと先輩のことを想ってるんですから…。


私よりも前からずっと…。