「名前呼んだら降ろしてやるよ。」


えぇっ!!
交換条件なんてズルくないですか!?


先輩が勝手に抱きかかえたくせに…。


「た…匠先輩…。」


「その“先輩”って言うのを取って呼べよ。」


それは無理…!!


「あの……先輩は年上ですし、やっぱり呼び捨ては出来ません。お願いです…。呼びましたから、降ろして下さい。」


切実に訴えると、先輩は溜め息まじりに私をフワッと優しく降ろしてくれた。