これぞ、悪口の手本であった
相手の弱み、気にかけていることをつつきながら、反論を与えずに一息もしないままにまくしたてる精神攻撃
この前、背中にあったその『いたずら』に気づかずに出歩き、まだその傷が癒えていないクロスにとっては
「ほらほら、泣いちゃ駄目ですよー」
「いや、姫。俺、一応大人なんで泣いてはいないんですが……」
「よしよーし。うずくまり泣いている暇があったら、立って歩きましょう。今度は背中に『俺天才』の紙を貼って」
「ますますバカにされますよ、それはっ」
「いいではないですか。馬鹿……もとい、少し抜けている天然はクロスのステータスなのですから。
今モテるのはきっちりとした男性じゃなく、少し可愛げがあるおっとりタイプだと、街にいる子が話しておりました」