お母さんが夜の仕事に出かけて行き、いつもと変わらない夜、布団に入って眠っている時の事。
「・・・ん?お父さん?」
異変を感じて目を覚ますと、いつもと違うお父さんがいた。
目が虚ろで、魂が抜かれたような、不気味な感じ。
「サラ・・・、父さんが悪いんじゃない・・・世の中が悪いんだ。」
そう言って、私の体を触り始めた。
荒々しい鼻息と、くらくらしそうな、アルコールの臭い・・・。
気持ちが悪くて、泣きそうになる・・・。
だけど、どうしようもなく怖くて、ただ震えるだけで声が出せなかった。
「絶対に母さんに言うんじゃないぞ。」
まだ子供だった私は、何をされているのか分からなかったけど、嫌悪感と罪悪感で、心が空っぽになっていくのを感じた。
一通り終わると、何事もなかったように隣でいびきをかくお父さん。
朝まで声を殺して泣いた。