「可愛い♪」


鍵もかけられていないショーケースに並べられた、数々のアクセサリーたち。


もちろん貧乏人の私は、アクセサリーには縁が無いんだけど、やっぱり女の子ですもの、興味はあったりする。


比較的小さな宝石をあしらった指輪やペンダントが並べられていた。


中でも、ひと際私のハートを鷲掴みにしたのが、プラチナの細いチェーンの先に、これまたプラチナでひねりをくわえてある、ハートのモチーフに、

小さなダイヤが二つ、並んでついているペンダント。


お値段、8万5千円也。


「高いじゃん。」


とうてい買えそうに無い値段に、ため息を漏らしつつも、手にとってみる。


お店の照明が反射して、ダイヤがキラリと輝いた。



森山サラ、妄想の世界へ旅立ちます。


―難なく高校、大学を卒業した私。


 引く手あまたな就職先の中から、一番条件のいい会社に就職。


 都内の高層マンションの最上階を買って、お母さんにも楽させてあげよう。


 こんなペンダント位、キャッシュで買ってやるんだから!


 それから―