早く帰りたい・・・。
そう思い柏原のほうを見ると、店員の女と何やら楽しそうに話しこんでいた。
ナンパなら、他でやれよ!
居心地の悪いこの場所から早く開放されたくて、いっそ帰ってしまおうかと出口に足を進めた途端、激しくお腹が鳴って、ピタリと止まる足。
御馳走・・・、御馳走のため・・・。
こうなったら、死ぬほど食べてやるんだから!
そう心に誓い、店の中をブラブラと歩いた。
店の端にある一角に、この店には似つかないほど、庶民的な雑貨屋さんのようなスペースが設けられているのに気付いた。
もちろんセレブたちは、そこには目もくれず、店員もついていないような、小さな売り場。
庶民な私は、ものすごーく心惹かれて、吸い寄せられるように近づいた。