-エリカ-

「翔・・・か」
梨奈ちゃんはほんとに翔が好きなんだね。
でも私、馬路になりそう。
今まで人を好きになったことなんてなかった。
恋愛なんてもってのほか。
だって私は・・・人気NO.1歌手だから。
スキャンダルなんて正直めんどい。
だから、恋を封印してた。
でも、でもさ。本当は・・・
恋、したい。
ここまで本気になるとは思ってなかった。
でも梨奈ちゃん。
あの子は芸能人顔負けの才能を秘めている。
そんなこと男の取り合いなんて―――
「・・・おもしろいわ」
翔。
あなた今、梨奈ちゃんと幸せだと思うけど。
その幸せ、私が奪うわ。
「私と幸せになりましょ」
「エリカ!ドラマオファー断るの?!」
・・・マネージャーうざい。
確かに私の事すごくわかってくれる。
美人だし。
でも、何か欠けてる。
私にはふさわしくないわよ。
「・・・やっぱやる。暇だし」
「暇って・・・エリカ、ドラマは簡単にこなせる仕事じゃないのよ?」
「それは私が1番わかってます~」
「もう!じゃあやるって社長に言ってくるわね」
あたしは、ケータイをいじって・・・
『もしもし?』
「あ、ひねくれ坊主?」
『なっ!お前愛乃エリカ!
ひねくれ坊主って誰だよ!!』
「あなたに決まってるじゃない」
電話の相手は、翔。
梨奈ちゃんちょっとかわいそうだけど・・・
私に少しくらい譲ってくれたっていいじゃない。
「あのキス、どう思った?」
『冗談じゃねーよ!!あのキスのせいで梨奈とケンカしそうになったんだからな!』
・・・梨奈ちゃん・・・・・。
「・・・あなた、ずいぶん梨奈梨奈ね」
『あったりめーだろ!自慢の彼女だからな!』
自慢・・・ねぇ。
「・・・あなたにそんなこと言われる梨奈ちゃんは、とっても幸せ者ね」
『は?なんだって??』
・・・まだ脈無しね・・・。
「切るわ!仕事あるし」
『はぁ?てめー何のために電話し・・・』
私は翔の話を聞かずに、途中で切った。