-翔-

「梨奈!おはよ」
「翔・・・おはよ・・・」
・・・めっちゃ梨奈暗いんですけど。
「何かあったのか?」
梨奈は一瞬、ピクッと肩を動かし、
「なっ・・・なんでもない!」
と言って走り出した。
「おい梨奈!言わないきゃわかんねぇだろ!」
なんなんだよもう・・・。
すると梨奈は、キッとオレを睨んだ。
涙がこぼれてた。
「翔!なんで約束破るの!?
翔は約束守るって言ってくれたから・・・
もう1回付き合おうって思ったのに!」
約・・・束??
「おいちょっと待てよ。何の事だよ?」
「翔、エリカちゃんとキスしたんでしょ?」
「なっ」
なんでそれを知って・・・!!
「あ、あれは・・・、その・・・。
お、オレの意思じゃない!」
「そんなことわかってるよ!」
梨奈の目からは大粒の涙。
「エリカちゃんみたいなかわいい子にキスされたら・・・
翔だって好きになっちゃうでしょ!?
あたしなんかよりも!!!」

・・・梨奈。

オレ、今素直に嬉しい。

梨奈がやきもち妬いてくれてるのが。