-翔-

「梨奈の奴、なかなか帰ってこねぇな・・・」
んだよ、梨奈がいればかわいいから客いっぱい入ってくんのによぉ。
それはそれでムカつくけど。
「翔・・・」
「あ、梨奈!愛乃エリカ、なんか言ってたか?」
「・・・あたし、翔と別れたほうがいいって」
・・・・・え?
「あたしはかわいいって。モデルだって夢じゃないって。
だから、翔に限らずいろんな人と恋しなさいって・・・」
「はあっ!?なんだよそれ!」
なんであいつ・・・そんなこと!!
「エリカちゃんはっ・・・翔のことが好きなんだよ!!」
「・・・・・は???」
「翔が好きだからっ・・・あたしに別れろっていうんだよ!」
なんだそれ・・・。
オレは気がついたら走り出してた。
「おい!!愛乃エリカ!!」
「あ、あんたはさっきの・・・翔!」
「お前っ梨奈になんてこと言うんだよ!」
「はぁ??」
「確かに梨奈はかわいいよ!!モデルにだってなれることは事実だよ!
でも・・・あいつがどんなにかわいくても、どんなに有名人になっても!!
オレはあいつを離さない!」
ちゅっ
・・・・・は?
「なっお前・・・」
「あはは!からかっただけよ。
あんた、そんなに梨奈ちゃんが好きなの?」
「おう!!悪いか!」
「い~や全然♥
帰るわ!もうライブも終わったことだし」
「とっとと帰れこのヘタレ女が!!」
ったく・・・。
いきなりキスとかすんなよな!!
好きでもないくせに・・・
「・・・ちょっとだけ・・・さみしいかな。
梨奈ちゃんに会えなくなっちゃうのも・・・
・・・あなたに会えなくなっちゃうのも・・・」
え、何でオレまで??
「ま、しかたないわね!いつかまた会いましょ」
そう言って愛乃エリカは姿を消した。