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『梓は・・・肺がんなんだ』


有香に全部本当のことを言った日。

有香が傷ついた顔をした。


そりゃ、そうだ。

有香を今までだましてきたんだから。


俺は、嫌われてしまったかもしれない。

嫌われてなかったとしても、もう有香を好きではいられない。


俺のしたことで梓、有香を傷つけたくない。
2人とも俺にとってはとても大切な人だから。


有香があまりにも泣きそうだから、抱きしめた。


でも抱きしめてしまったら余計、止まらない。


俺は有香に


キスをした。


「・・・り、く」


驚いたように目を見開く、有香の頬はりんごのように真っ赤。


そんな有香がとても愛しい。

今すぐ何もかも捨てて有香だけを奪い去りたい気持ちになった。



有香と視線が絡み合ったとき、俺はハッと我に帰る。


何、やってんだ俺・・・