春妃はどんどん美しくなってきた。


「歌手になりたいって?
理輝も歌がすごいうまいって言ってたよ。」



「うん。作品もたくさんあるの。
本当はオーディションとか路上ライブとかそういう苦労して
掴むのがいいんだろうけど
ママがあまりいい顔しないの。」


「ママは反対なの?」



「うん。パパはこっそり賛成してるけど。」



「それならママを説得してからだよ。
歌聞いてもらったらいいだろう?」



「そうなんだけど……
ヒロおじさま……ママ説得して」


キラキラ輝く瞳から
宝石のような滴がこぼれおちた。


春妃は俺の手を静かに握って
涙がこぼれる頬に持っていた。


「いい歌歌えるの・・・・
聞いてもらいたい人のために
歌いたい・・・・
その人の心に響いてほしい・・・」


俺を見つめる春妃に
初めて女を感じて自己嫌悪に
陥った・・・・・。


春妃の涙が俺の皮膚にしみ込んで
春妃が俺の心の中に
住み着いたような気がして
首を振った。