春妃のお墓は、ここにあるのか


また理輝に会ってしまうなんて・・・
ここから出ないといけないと焦りだした。


「坂本さん～」


だれかが後ろから坂本を呼んだ。



「おう！！」


関係者らしき男性が近寄ってきて
坂本に缶コーヒーを渡していた。


「サンキュー」


二人は街並みを見下ろしながら
しばらく静かな時間が流れた。


「あっという間でしたね。」
男性がつぶやいた。


「ほんとだね・・・・なんか
なにが起きたんだって考える暇も
なかったよ。」



「これからって時だったから
俺もマネージャーとして何を見てたんだって。」



「もっと早く変化に
気がつかなかったのかって
悔やまれます。マネージャー失格です。」

マネージャーがうなだれた。



「いや・・・・。
俺もプロデューサーとして失格さ
男としても・・・・。」

最後の言葉は
小さく頼りなかった。


「美しかった・・・・・
春妃という人間は全てを
兼ね備えていた・・・・・。
だから何かバランスを崩した時・・・
それを外に見せないように
頑張りすぎて・・・・
救えなかったのかもしれないですね。」



「アーティストとしても
女としても人間としても・・・
春妃を愛した人間には
大きな傷跡になってしまうだろう。」