「……ふっ!やっぱあの子気に入った!ほんと欲しいんだけどなぁ~………貰っていい?…夏目…」
曲がり角から夏目が現れた
「盗み聞きなんて悪趣味だな」
「お前、二度とハルに近づくな!!」
「何で?別にお前のじゃないだろ?」
「何考えてやがる…」
「こんなに熱くなるなんて、よっぽど好きなんだね」
「新庄!!」
「怒鳴るなって。あんなでたらめ言ったのに顔色一つ変えないで逆に言い返してきたのあの子が初めてだったから気に入ったんだよ!」
「……」
「まあ、半分本当で半分嘘だからでたらめって訳でもないか」
夏目は黙ったまま晃を睨んだ
晃は夏目に近づいて耳元で囁いた
「今日の試合、負けろ!」
「!?」
「お前じゃ力不足!足引っ張るだけだよ!……昔みたいにな」
……昔…みたいに
「負けてくれたら二度とハルには近づかないって約束するよ!」
「……」
「たとえ勝ったとしてもお前がボロボロになってればいいや!」
晃はクスクス笑ってそう言うと、体育館へ戻っていった
夏目はその場に立ち尽くしたままだった