「繋ぎ止めておかなくていいと思うんだけど…。」


目をパチクリさせた。


「まだ分かんね~のかよ。」


半分呆れてるでしょ?


だって、何が言いたいんだか分かんないんだもん。


「ハッキリ言われなきゃ、分かるわけないじゃん?」


ムッと口を尖らせた。


「好きだって言ってんの。」


真っ赤になって照れてる七瀬。


それなのにポカ~ンと口あけて、理解できてないあたし。


「…なにが?」


その言葉しか出てこない。


「どこまで鈍感なんだよ…。」


半分呆れてる?


「だって、分かんないんだもん。」


今までのことを考えたら、何が好きなんだか?


「普通だったら嫌われるような事をされてるのに、それでも変わらずに接してる所。…それ以上に優しくしてくれた。」


「どこが?」


「役作りの時、普通なら手伝うから写真消せって交渉するのに、伊吹はそんなことなんか考えずに手伝ってくれるって言ってくれただろ?」


「だって、そんなこと考えてなかったし。七瀬のつらい気持ち分かったから。」


「そういう所が好きだって言ってんだよ。」


段々と七瀬がイラついてきてる。


「なんだ。あたしの事が人として好きってことね。」


やっと理解できた。


「絶対に仕返ししてるだろ?」


七瀬は一段と怒ってるし。