「おかげさまで、毎日ゴミ処理が大変でした。」


笑顔でイヤミたっぷり。


「ごめん。まさか、あの女達がイヤガラセするなんて思ってなかったから。」


「それで?」


「適当に理由つけて様子を見に行った時、廊下に出てきた伊吹とアニキがどこかに行くのを見た。それがあの写真。その写真を取った瞬間、嬉しくて仕方なかった。かすかに声は聞こえてたから、仮眠室の前でもやましい事がないのは分かってたし。」


「はぁ~?!どこが嬉しくなるわけ?あたしに文句言えるから?」


眉間には極太のシワ。


「違うよ。オレ自身でも不思議なくらい、何かあるたびに伊吹を思い出してた。最初はムカついて思い出す程度だったのに、いろんな伊吹の顔を見てたら、小さくてもハッキリと記憶に蘇るたびに苦しくなって…伊吹の言ってた言葉を思い知ったよ。」


フッと鼻で笑った。


「なにを?」


あたし、何か言った?


心当たりは多すぎるし。


勢い任せで言っちゃってたし。


「伊吹が前に言っただろ?女遊びしてるヤツは、本当に好きになった人とはくっつかないって。」


記憶にあるような?


ないような?


「言ったかもしれない…。」


「本当にその通りだった。写真を撮ったときは、どんな理由をつけてもアニキから引き離せると思ったのに、今じゃ、この写真がなければ、伊吹を繋ぎ止めるものがないなんてな。」


イマイチ意味が理解できない。