そして卒業式を迎える前日の夜




俺は葵と恋人としての最後の夜を過ごした



きっと明日は母さんが盛大に卒業のパーティーをするだろうからこれが二人で過ごせる最後の夜になる






だから俺は葵を抱いた



葵を忘れないために



葵が俺を忘れないために




夢を叶えるまで帰って来ない葵



夢を叶えるまで葵に会わないと決めた俺



だから何年かかるかわからない




もしかしたらもう二度と会えないかも知れない




会えたとしてもお互いに違う大切な人が居るかもしれない




だから…




俺は葵に俺の愛を今日全て捧げる





葵もまた同じ気持ちなのかもしれない



でももし本当に二人が運命の相手なら




きっとまた会える筈だから




その日までお互いに頑張る為に



前を見て約束を果たすために



走り続けれるよう





忘れられない夜を過ごした




『愛斗…愛してるよ』


葵が囁く



『あぁ俺も葵を愛してるよ』



そして俺も囁いた





こうして最後の夜は二人で愛を確かめながら眠りに着いた