バツが悪そうに
舌打ちする俺が、樹はさぞ楽しいのだろう。
怪我をして動けない俺をいい事に、ケラケラと笑い声をあげる樹。
治ったら覚えてろよ…。
憎しみを込め睨む俺に気が付かず、ひとしきり笑った樹は言う。
「で?」
「…あぁ?」
イライラしながらも聞き返す俺。
「どーゆう心境の変化?」
と、樹。
その顔はまるで
秘密基地を見つけたような、いたずらをした後のような少年そのもの。
だから、これまた素っ気なく答えてやった。
「お前にはわかんねぇよ。」
「んな事ないさ。話してみろって。」
「…別に特に理由なんかねーよ、うるせぇなぁ!」
「何怒ってんだよ、変な奴。」
お前のせいだっつーの!!!
ぶん殴りたい気持ちを抑え、心の中で叫ぶ。
すると、樹は核心に触れるような事を言った。
「だって颯、由井の事ウザがってたじゃん。」
「…………。」
「まさか、意識ないフリして目覚めてたとか?」
それはないか、とぼやく樹に俺は押し黙る。