…たった2週間。
されど2週間。
そんな短くも長いような時間。
紅葉の居ない世界で過ごして、俺は気が付いたんだ。
お前の居ない世界は
俺にとって
ピッチャーのいない野球みたいに
メインディッシュのないディナーみたいに
何の意味も
成さないんだと。
だってさ、見るモノ全てが空っぽなんだ。
色がない、って言うの?
朝日の眩しさとか
夕暮れの切なさとか
全部が全部、ちっぽけでつまらないモノに見えて。
…でも、もしかしたら。
「…何、してんのよ。」
「ん~…キス?」
「わ、わかってるわよ!そんな事!」
「んじゃ何で聞いたんだよ。」
「~~~~っ!」
もしかしたら
空っぽだったのは、俺だったのかもしれない。
「な、何か言う事ないの!?」
「言う事?」
「………、」
「……あぁ。」
ふっと笑う俺の目には
秋の色に染まった、紅葉の照れた顔。
俺は多分
紅葉が居なきゃ、空っぽなんだ。
「―――好きだ。」
だから、満たしてよ。
俺を、もっといっぱいにして。
お前だけで、ね。