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デジャヴってのは
こうゆう事を言うんだろうか。
まぁ、いずれにせよ
夢と現実の境目はいつだって曖昧で。
偶然と運命、そんな言葉だって、どちらをどのタイミングで使うのかも
所詮、自分自身が決めるんだ。
これもどうせ現実に似せた、ただの夢だろ?
「―――て、颯っ!」
……え?
あ、あれ?
「…かぁ、さん?」
薄く開いた瞼に
まず飛び込んで来たのは母さんだった。
「お前って奴は…っ!」
続いて父さん。
「お兄ちゃぁあ~んっ!」
泣きまくるのは
まだ小学生の妹、杏菜。
…え?
つーか、何これ?
思い通りに動かない体で、懸命に辺りを見渡すと、クリーム色のカーテンが揺れる。
遅れて、独特の消毒液の匂いが鼻をかすめた。
そこで、ようやく気が付く。
まさかここ……。
「……病院…?」
すると、届いた声。
「そうだよ。」
視線をその声のする方へ向ければ、見慣れた顔が病室の隅に見えた。
「ここは病院だよ、颯。」
「……樹、」