―――もし。
もし、紅葉が居る世界に戻れたら
やっぱり、俺は死んでいるんだろうか。
あの時、トラックに跳ねられた俺は今どうしてる?
もう何が本当なのかさえ曖昧で。
どこが出口でどこが入口なのか、それすらわからない。
けれど、おそらく
ぶっつりと遮られた境界線の向こうに、紅葉は居るんだろう。
だとしたら
こっちの世界のように
俺も紅葉と同じく、存在自体が消えているのか?
それならば紅葉も
今の俺と同じで、俺を探してくれてるのかな。
そんな事を、バカみたいに繰り返し考える。
でも答えは誰も知らないんだ。
まるで、堂々巡り。
迷路のように
俺を迷わせ、そして紅葉の存在をより色濃くさせる。
それこそ、バカな話だ。
傍に居ないのに
ここには、居ないのに。
傍に居たあの頃よりも
ずっと、アイツの事を考えてるなんて。
紅葉の事で、頭がいっぱいだなんて。
……バカらしくて、ムカつく。