意味がわからない。
今まで気が付かなかった俺も俺だけど…。



「…ごめん、」

無意識に、口をついて出た言葉はそれだった。


鈴華の濡れる瞳を見つめ、俺は言う。




「俺、お前の事…そうゆう風に見た事ねぇから…。」

何だか心苦しくて
思わず視線を床に落とした。


こうゆう時

どう対応したらいいかとか、何て言えばいいかなんて俺にはわからなくて。



アイツなら、きっとこう言うんだろうな。

なんて思いながら
俺は続けて鈴華に告げた。



「でも、ありがとな。」

「………っ、」

「気持ちは、すげぇ嬉しかった。」


だからありがとう、と
もう一度言った俺に、鈴華は泣き笑いして首を振る。



「ううん…。あたしこそごめんね。突然こんな事、」

「いや、俺の方こそ、さっきは心配してくれたのに悪かった。」

「…いいの。じゃあ、もう行くね。」


背を向けて走り出した鈴華の後ろ姿を、俺はぼんやりと見つめる。



「……ごめん。」


と、呟いて。