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紅葉の居ない世界に飛び込んでから丸一週間が経った。

あれからも俺は諦める事が出来ず、ただ漠然とした日々を過ごすだけで。


聞こえるはずのない声を
居るはずのないあの後ろ姿を、何故か探してしまう。

そして、また現実に打ちのめされ落ち込むんだ。



…あぁ、そうか。
アイツはここに居ないんだ、と。





「はーやてっ!」

ポン、と肩を叩かれ振り返るとそこにはクラスメイトである鈴華(スズカ)が居た。


鈴華とは、紅葉と一番仲がよかった女子で。

いつも二人でつるんでいたから、喋り方や好きなモノまで同じだった。



「…何。」

俺は至極短く返事を返す。


あんなに仲よかったくせに、何で紅葉の事知らねぇんだよ。

何で忘れてんの?


…マジでムカつく。




よっぽど顔に出ていたのか、鈴華は少し怯えたような表情で言った。


「……何かあったの?」

「別に。」

「嘘だよ!この前から何か変だもん。」

「何でもねーから。」


イラつく。
アイツと同じ喋り方で、何も知らないっていうその態度が、俺の苛立ちを増殖させる。