程よく酔った二人は、店を出た。
カトレアに同伴出勤するまで…まだ時間には余裕があった。
夜の街を歩く、二人で……。
月子は幸せに満ちた。
この関係が…何処までも続いて…出来るだけ長く…長く……。
己れの肌を忘れる一瞬だった。
ブディックの前を通る。
ドレス、バック、靴、香水、小物…など売っているホステス御用達の店。
明け方近くまで開いており、ホステス達が酔った客を連れ込み、よくねだっている。
修二はツカツかと歩いて行ったかと思うと、その店の扉を開けた。
そして、月子に手招きした。
「???」
首を傾げながら、月子はついて行った。
「いらっしゃいませ」
店員が飛んで来た。
修二は、困惑している月子の背を後押しして、店の中に入れた。
「初デート記念って言うか、初同伴記念かな、何でもいいや、気に入ったドレス選んでよ」
「そんな…いいです…私、いらないから…」
「遠慮すんなよ、ほら、これとか、これなんかも」
と修二は、幾つかのドレスを手に取り、月子に見せた。
どうしたらいいの?
こんな肌の出るドレス…着れる訳ないじやない……窮地……。