部屋に帰った女は、灯りを点け、鏡の前に立った。
スーツの上着を脱ぐ。
スカートを脱ぐ。
インナーを脱ぐ。
パンストを脱ぐ。
ブラジャーもパンティも脱いだ。
裸の筈が???
まだ一枚着ていたのか…ヒョウ柄の薄いレオタード。
首から足首にかけて、背中も、胸も、お腹も、お尻も、両腕も…ヒョウの模様だ。
どうやら全身繋がっているらしい。
???
ファスナーもボタンもない…こんなピッチリしたレオタード…いったいどうやって着た?
脱ぐ事も難しい…。
女はそのまま、バスルームへ……。
シャワーを勢いよく出した。
ハハン…この着ぐるみみたいなヒョウ柄のつなぎは、ボディペイントだったのか?
シャワーの湯は、女の涙を流した。
が………
ボディペイントは流れずに、それよりも湯を浴び、よりいっそう鮮やかに色濃くなった。
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)、あまり良く知られてはいないが…脱げないレオタード、このヒョウの着ぐるみの正体は、この皮膚病のせいだった。
これも、肉体に組み込まれたカリキュラム……。