月子と同伴の約束をした。
寿司屋「横綱」、この辺りでは、価格表示のない一流の店だった。
新調されたスーツで赴く修二。
憧れの君は観音さん。
店外で初めてのデートだ。
気持ちが…どうも落ち着かない。
何だ?修二よ、この動揺は?
大山と盃を交わした日から数年が経ち、数々の修羅場には遭遇してきた。
組同士の抗争や、危ない橋渡りのビジネスなんかはしょっちゅうある。
女も数知れなく抱いてきた。
が…今日ほど…緊張した事はなかったな、確か……。
これが惚れるって事か……。
恋とは、この世の全てを上回る…と修二は思い知った。
30分前に「横綱」に着いた修二。
アルコール早く体に入れて置かないと、素面ではあがる所か…カッコ悪い話、どもりそうなほど、心に余裕がなかった。