修二は、ワイシャツを全て新しく新調した。
スーツの上着も全て、仕立て直しに出した。
袖を長く、長く、手首の入れ墨、絶対にばれてはいけない。
今までならば、チラリとシャツの袖口から見えるサクラを、自分のステータスだと感じてきたのに……。
背中に生きる観音さんは、裸にならない限りばれる事はない。
墨を入れた事に後悔はないけれど、 この世界に足を入れた事を悔やんではないけれど、この湧く感情は何なんだ?
もしや、惚れた?
惚れるというのは…自分が自分でない。
こんな苦しいもんなのか?
心に枷をはめられたようだ。
この枷、取り外したい。
いいや……それよりも…そんな事よりも、今夜も観音に拝みに行きたい気持ちの方が先だ。
仏参拝。
枷歓迎。