女は、指からダイヤのリングを外した。
「これ……返すわ…」
とリングをテーブルの上に差し出した。
男は首を横に振り、哀しい顔をする。
「それは…月子にあげた俺の気持ちだから…そんな事しないでくれよ」
途切れ途切れの情けない声で言った。
女の瞳から、涙が一つ、二つ滑り落ちた。
首を横に振り、
「あなたに応える事、出来ないから…これは頂けない… 」
沈黙が続いた…お互いの瞳の中には、恋しい相手がいる。
男はリングを手に取ったかと思うと…少しだけ開いていた窓をさらに少し開け…夜のパノラマへと…遠くに投げた。
光る石は…闇に消えていった。
それは流れ星…。
お互いに恋しい相手なんでしょ!
ガキじゃあるまいし…
では、なぜ?