月子が店で着れる衣装は、長袖のスーツだけだった。
それでも見えてしまう部分、膝から下の足や、手首に近い部分は、丹念にカバー力の強いファンデーションを塗って隠した。
顔には出なかったので、ルミ子以外、誰も知らなかった。
ただ、困った事に…週に一度、カトレアにはドレス日があった。
それでもスーツを着ている月子に、ホステス達は首を傾げる。
ルミ子ママは巧く誤魔化した。
月ちゃんは軽いアトピーなのよ。また湿疹がよくなったら、その内ドレス着て貰いますからね……と。
肌と言う女の武器をもぎ取られた月子にとって……客の口説き文句は、言葉の拷問。
月子はいたたまれず、ルミ子に相談した。
ママは即座に答えてくれた。