月子に指名が付き始めた。
その頃から、月子はある壁にぶつかる。
客がホステスを口説く。
この世界では日常茶飯事…客は、この、あわよくばのオマケの為に、高い飲み代を払っているのだ。
断れば、それで終わってしまう客は多い。
もう店に来なくなるか、それとも別のホステスに指名替えされてしまう。
でも、お客の望みには応えられない。
現に、あからさまに体をフルにつかって、お客を呼んでいるホステスは…クラブカトレアには何人もいた。
私を拾ってくれたルミ子ママ…彼女の為にも頑張りたい。
少しでも多くの売上を…指名替えならともかく、他の店に取られるぐらいなら、それも仕事の内と言うならば…こんな体の一つや二つ……気持ちはない事もなかった月子だったが………。
肌が…それを許さなかった。
月子の意気込みを邪魔するものは、ヒョウ柄の肌………。
こんな肌を…裸を見たら…触らせたら…百年の恋も一秒で終わり。
誰も…気持ち悪がって逃げて行くに違いない。