この兄ちゃん家族を裏切る事なんて出来ない。
布団に入ってからも、考えるのは修二の事ばかり。
修二さんは、私のせいで傷を負った。
命は助かったけど、体に傷つけたのは、この私。
謝りたい…一言だけでも謝りたいよ。
もう戻らない決心はついてるから……。
最後に謝って…それで終わりにするから。
謝る…だけだから。
次の日、月子は病院に向かった。
受付で部屋番号を聞き歩いて行くと、そこは、一般面会が出来そうにない特別病棟だった。
ドアの前では、修二の舎弟が五人立っていた。
その中に山下がいて、月子と目が合った。
「月子さん、来てくれたんっすね。どうぞ」
と修二の部屋をノックした。
「はい」
修二の声が返ってきた。
山下がドアを開け、月子に部屋に入るようにと促した。