次の日から、月子は不動産屋をあちこち回った。
取り敢えず、今の部屋は売りに出した。
後は自分が住む部屋を決めなくてはいけない。
手頃なとこがなかなか決まらずに、物色していたある日の事だった。
携帯が鳴った。
ディスプレイに修子!
修子?そぅだ、原田にばれないようにと…まだそのままだった。
修二さん!どうして?
何で?もう良くなったの?
どうしよう? この電話…私出るべきなの?
出てはいけないの?
どうしたらいいの?
携帯の音は鳴り止まない……修二さん……。
これは運命の着信音…出る、出ないの二者択一ゲーム。
それによって運命は、はっきりと分かれる。
早く~プレーヤーの月子さん、どちらか選ばないと……。
月子はキーを押し、電話を受けた。
「もしもし…」
「月子さんですね?」
それは、修二の声ではなかった。
「あのう、以前お会いした、運転手していた山下と言います。覚えてますか?兄貴の意識が戻りまして、それで月子さんに連絡を取ってくれと…一度病院の方まで来て頂けないっすか? 」
修二さんの意識が戻ったんだ。