夜が明けた。
ズングリムックリの横で眠る月子は、今日、嫁に行く。
月子は寝ているふりしながら、一睡もしていなかった。
時計が6時になった。
原田はまだ熟睡している。
月子は、大袈裟に何度も寝返りを打ち、原田の目覚めを促した。
やがて原田は目覚めトイレへ…そして着替え、いつも通り無言で部屋を出て行った。
月子は細い目を開け、様子を窺う。
今だ!急がなくちゃ!
スーツケースを引っ張り出してきて、慌てて荷物を詰める。
早く、早くしなくちゃ……準備は整った。
予め、昨日からタクシーは手配してあった。
ベランダに出て、外の様子を窺った。
静けさの中に、BGMは鳩の鳴き声、そこには一台のタクシーが停まっていた。
近くには、誰もいない。
今だ~
月子、急ぐのよ、修二のもとへ~