演技でも何でもない、月子は真剣だった。
修二さんに抱かれたこの体…汚されるくらいなら、死んだ方がまし。
月子の死に物狂いの抵抗に……原田は負けた。
「もういい!早く寝ろ!」
と原田はベッドに戻った。
月子は力果て、その場にしゃがみ込んでしまった。
修二さん…私、決心が着いたわ。
あなたに付いて行く。
付いて行きたいの。
何処までも……。
どんな困難が待ち受けていようと、生死紙一重の世界であっても構わないよ。
お兄ちゃん…ごめんなさい。
龍子を許して…お兄ちゃんがこの世で一番嫌がる場所に入って行く私を……。
大事に大事に育ててくれたお兄ちゃん……。
子供の頃、友達が出来ても出来てもどんどん離れていった。
何で?何でなの?
即答します…あなたの親父がヤクザだから、それもチンピラ、小人物……関わりになったら、どんなイチャモンつけられるか分からない、あの子と遊ぶのはやめなさい……何処の家の親でも言うだろう。
そんな私の遊び相手は…お兄ちゃん一人だった。
お兄ちゃん…私ね、修二さんを愛してしまったの。
お兄ちゃんに嫌われても、縁を切られても仕方ない。