原田の指が…もぞもぞと私の胸を這ってきた。
起きてたんだ!!!
言い知れね気味悪さ…誰か、助けてよ。
この世で一番愛する男に抱かれてきたこの体に、汚らわしい手で触らないでよ。
「嫌よ~やめて!」
月子は起き上がろうとした。
が…原田が執拗に覆い被さってくる。
「やめて~やめてよ!」
月子はありったけの力で、重い西瓜腹を払い除けた。
ベッドからするりと抜け、キッチンへ逃げた。
西瓜をユサユサと揺らしながら、原田が追いかけてきた。
「お父さん…今日は私…疲れてるんだ…だから、やめて…やめてほしいの…」
月子は必死に訴える。
この体に…今日だけは…今日だけは…指一本触れさせやしない。
原田が情けない声で言う。
「月子、そんな事言うなよ…な…」
と、それでも尚、接近して来た時!
月子は流し台から包丁を取り出した。
「月子…お、お前…な、何するんだ?」
原田は後退りした。
と月子は、包丁を自分の首に当てた。
「触らないで、私に…疲れてるって言ってるじゃない……」