「ロシアに開発の仕事があって、引き受けようかどうか、今、迷ってるんだ。行けば、暫くは…何年かは帰って来れない。それと、繋ぎ合わせて考えるのは筋違いかも知れないが、どうしても、このままでは決断が出来ない。月子、君の事が引っ掛かり、先には進めない。今日、今から…俺に賭けてくれないか?朝まで一緒にいてほしい…。これは無理強いじゃないから…選択は月子に任せるよ、決めてくれ…」
ここは都内のあるホテル、コース一人前\30000のフランス料理。
デザートを食べ終えた時、男が女を口説いた。
窓の外は、光散らばる絶好の夜景。
口説く男は、文句のつけようのないルックスとスタイルを持ち合わせていた。
二人とも、赤ワインの酔いも程よくまわり、気分も高揚して…もう二人の行く所は一つしかない…そこしかないシチュエーション。
ここで断る女は先ずいないだろう。
来た…遂にこの日がやって来た。