ある営業中…ムーンライトに怪しい客が入って来た。

黒のタートルネックに黒のストレートパンツ、ニット帽被り、サングラスをかけている。

ボーイが直ぐに走って行ったが、常連客なのか、ボックス席に案内された。

修二だった。

「修二さん!」

「よっ、月子!悪いなこんな格好で…」

「ううん…そんな…」

月子は首を横に振った。

修二さんが来てくれた、また会えた…。

「月子さ…ちょっと厄介な事があって…」

「どうしたの?」

「暫く、1、2カ月…の間、この近くには居れないんだ…」

「えっ?」

「違う組に狙われているらしいんだ…会議が終わるまでの事なんだけど、この辺では暫くウロウロ出来ない状態になったんだ。それで、月子の顔見とかないとな……と思ってさ」


「近くに居ないって?何処に?」

「親っさんの別荘さ…暫くそこでじっとしてるよ」

「それって、何処?」

「…月子にも、それは言えない。ほとぼり冷めたら帰って来るよ」

ほとぼり冷めたら?

そんなの嫌よ…もう、きっと手遅れになってるわ。

1、2カ月の間に、私の状況はどう変わっているかも知れないのよ!

どうすりゃいいのよ!