兄の、龍子を思いやる熱弁が続く。
「龍子、兄ちゃんがな、一番望んでる事は、歳相応の男と結婚して、子供作って、そうゆう生活を送って欲しいんだ、わかるか?」
「お兄ちゃん、それがね……」
月子は口ごもった。
「何だ?何でも話せ」
「……修二さんが…出てきたの… 」
「何?修二って?」
兄の眉間に皺が…。
「それが、出てきてる事知らなかったのよ。偶然に会って…」
眉間に入った皺が、ますます深くなった。
「で、店や家、教えなかっただろうな?」
「…店の下で会ったから、店、教えたら、もう飲みに来てくれたの……」
兄は、両手で頭を抱え、大きな溜め息をついた。
「龍子…お前…何考えてんだ?あんな奴に、また取りつかれたら、もうこの世の終わりだよ」
「お兄ちゃん、聞いて!あの人はね、お兄ちゃんが思うようなそんな悪い人じゃないのよ!」
月子哀願するように訴えた。
兄の感情は高ぶってきた。
「悪いも何も、れっきとしたヤクザじゃないか!人も殺したんだぞ!お前の事も騙した!それで何が悪くないもんか!」
「色んな事情があっての事だったのよ!」
ぶつかる兄と妹……。