修二と名残惜しい別れをして、月子はタクシーに乗った。

掘り起こされ、息を吹き返した心が聞く。

私の行き先は何処ですか?

今、あなたが運転手に告げた場所とは…どうも違うように思うのですが……

タクシーがマンションの前で停まった時……情けない顔した原田が立っていた。

月子がタクシーから降りるなり!

原田は月子の頬に、思い切り平手打ち!

「痛、何するのよ!」

「誰といた?何処で何してたんだ?携帯切っているし、店に電話してもいなかったじゃないか!」

「新規のお客さんに、一杯だけ付き合ってくれって言われたのよ!」

「何処の誰だ!何処の店にいたんだ?何で携帯の電源切った?」

静まり返った深夜にもかかわらず、道端で大声を出す原田。

「こんな真夜中に、大きな声出さないでよ!」

月子は、さっと足早に部屋に向かって歩いて行った。

原田も急いで、その後に続く。


部屋に入るなり、きびしい詰問が始まった。

誰といた?

新規のお客さん。

何処にいた?

バー黒猫。

何してた?

カクテル飲んだ。