親も、恋も、夢も、希望も、肌も無くしてしまった龍子……。 そんな龍子を、咎めたり意見したりなんか、兄に出来る筈がなかった。 じっと側で見守るしか、それしか方法がみつからない。 蟻地獄の穴の淵に座り込み、力強く砂を握りしめた。 どんなに強い力でも、さらさらの砂は…指の隙間から溢れていく。