再会した日から数日後、修二がムーンライトにやって来た。

ボーイが駆け寄った。

「いらっしゃいませ!ご新規のお客様でしょうか?」

「あぁ……」

「失礼ですが、ご紹介の方は?」

「月子…いや、ママの知り合いだけど、仲田修二と言ってくれたらわかる筈だよ」


修二はボックス席に案内された。

客席にいた月子が、修二を見つけた。

再会してから…いつ修二が来ても、いつでも綺麗で迎えられるよう、月子は、ヘアスタイルにファッション、心まで準備は出来ていた。

店のドアが開く度に、胸が萎縮した。

やっと、来た……恋しい恋しい…男…まだ抱かれてもない…あなたの前では処女の私。

頬を少し赤らめた月子が、修二の席に来た。

「修二さん、来てくれたのね。ずっと待っていたわ」

修二は店を見渡し、微笑む。

「月子、出世したんだね」

「ううん……」

月子は首を横に振った。

何を話せばいいのかわからない、汚れきりながら、今この時、この時点の、童貞王子と処女姫。

二度と来る事もないと思っていたこの瞬間、長過ぎた七年も、二人にとってはほんの一瞬に思えた。